Tカードが個人情報をバラ撒くのはあなたを特定するためではない

私はTカード側の回し者でも何でもありません。

別に何人何百人何万人がTカードを退会しようがTカード側に文句垂れ流そうが、私はどうううううううううでもいいです。本当にどーでもいい。

ただ、
ちょっと細かいところがおざなりになって炎上が進んでいるのが気になったので、この記事を書きました。もしかして誤解してるんじゃないかと。

 

”個人情報”って?

今話題になっている、「Tカードが個人情報を第三者にばら撒くぞ問題」


Tカード「11月1日から個人情報バラ撒くよ。イヤなら個人情報提供停止の手続きしてね」 : GOSSIP速報

もうその反応たるや凄まじく、「酷過ぎだろwwwww」「狂っとる」「AV借りた履歴が流出するの?ねえねえ」などと怒りが噴出してます。

たしかに自分の買い物情報がすべて筒抜けになって色んなところで共有されたらそりゃめちゃくちゃ気持ち悪い。怖い。何もできなくなる。

ただ、ここで言う「個人情報」という言葉の意味、誤解している方もいるんじゃないか、と思うのです。

 

”個人情報”=”名前を特定できる情報”じゃない

今を駆ける企業たちはみんな「ビッグデータ」の収集に力を入れています。何故ならば、大事な顧客たちが何を欲してどう行動しているかがわかり、それに基づいてサービスを提供できるから。データが無かったらいつまでも「顧客はこう動いている……に違いない!!」というスーパーマーケターの勘でしか施策を打てません。(今まではずっとそうだったのですが)

大事な顧客の”声”として「ビッグデータは企業の通貨になる」とも言われています。*1

だから企業たちは揃って「個人情報」を手に入れたがるのです。

が、

その「個人情報」とは、決して「個人を特定してはいけない」というルールが明確に定まっています。

どれだけビッグデータが集まっても、分析に使う時は
「個人を少しでも特定しうるもの」=「名前」や「生年月日」や「細かな住所」は、
使ってはいけないのです。「年代」「都道府県」レベルでしか使ってはいけません。

これは、ビッグデータ分析をしている人にとっては常識で、もちろんだから100%CCC側もそうだ!と言い切ることは出来ないのですが、でも少なくとも99%、「CCCは個人を特定する範疇でビッグデータを使うことはない」と言えます。

てかほら、実際にCCC側も図でちゃんと「氏名・住所は使いません」って言ってるし。あくまで「20代女性で月10回使っている人~」レベル止まりだと。(T会員番号は単純にキャンペーンを打つ時にその対象かどうかを判断するのに使うだけかと)

個人情報提供の停止 手続きガイド|CCC カルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社

ビッグデータ事情が少し早く進んでいるアメリカでも、
「俺らの個人情報見るんじゃねえよ気持ちわりーよバカやめろよ問題」は数年前から起こっており、「ビッグデータを使う時は細心の注意を払うようにされています。何故なら怒った消費者たちは後が怖いから。(ただ実際いまみんなCCCに怒ってるんですけどね)

 

CCCは要はポイントを与える代わりにお客さんの機嫌を最高に取って売り上げを増やしたいだけ

個人情報を提供したからと言って
「○○という男はタイタニック借りた数時間後にAV借りてるぞ、これは女落とすの失敗したんじゃね」とか
「△△という女性は顔に似合わず官能映画をめっちゃ借りてるぜ」みたいな
個人を特定できる形での情報提供は、無いと言い切っていいと思います。(あったらもう完全にCCC潰れるでしょうね)

あくまで、「20代男子はTSUTAYAでJ-ロック借りた後ファミマでメッツコーラを買ってることが多い」みたいな形での分析になります。(そしてその結果そのお客様たちのご機嫌をとるようにJ-ロックを借りた人にメッツコーラのクーポンが発行されたり)

だから、今回のTカードの個人情報バラ撒きによって、あなたが普段している行為を、あなただとわかる形でバラ撒かれることは無いです。

もちろん、とはいえ監視されているのが気持ち悪いなあって人や、たかだか1%のポイントでこんなんめんどくさいからやめよ、って方は退会した方がいいと思います。

早くCCCのクーポンご機嫌取りの手から逃げて!!

ただ、今回のニュースを聞いて「えっ?個人情報?私の名前とかバレるの!?」って思っていた方は、それは無い、と考えて大丈夫です。個人情報は個人を特定できるという意味ではありません。

 

広告ビジネス次の10年

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*1:「広告ビジネス次の10年」より。